舌下免疫療法 | 医療法人 やまぐち内科クリニック

舌下免疫療法

舌下免疫療法とは?

 アレルギーの原因となるアレルゲンを舌の下に少量から投与することで体をアレルゲンに慣らし、くしゃみ・鼻水・かゆみ・咳などのアレルギー症状を長期間和らげたり、治すことが期待できる治療法です。この治療により、アレルギー症状の改善、アレルギー治療薬の減量、QOL(生活の質)の改善の効果が期待できます。日本でも2014年からスギ花粉症の舌下免疫療法が健康保険の適応となりました。また2015年にはダニアレルゲンが原因の通年性アレルギー性鼻炎の舌下免疫療法が健康保険の適応となりました。

「スギ花粉」
 スギ花粉症は、毎年春に発症します。くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどのアレルギー症状に対して、対症療法として抗アレルギー薬を用いて症状を和らげる治療をします。根治的治療を希望するスギ花粉症の人には、舌下免疫療法をお勧めします。
 治療の開始時期は花粉飛散のない6月から12月です。スギ花粉飛散期は、スギ花粉アレルゲンに対する過敏性が高まっている可能性があるため治療は開始できません。

「ダニアレルゲン」
 通年性アレルギー性鼻炎でダニアレルゲンが原因と確定診断された患者さんは舌下免疫療法による治療を受けることができます。

治療方法

 問診、アレルギー検査(特異的IgE抗体検査)などを実施し治療の適応となるか判断いたします。
 舌下免疫療法はアレルゲンとなるいずれかの薬剤(シダトレン®スギ花粉舌下液、シダキュア®スギ花粉舌下錠、ミティキュア®ダニ舌下錠)を使用します。
 当院では初回投与と錠剤の増量時は予約制とし、投与・経過観察を院内で行います。以後は毎日ご自宅で治療を続けていただきます。長期間(3~5年)の治療期間を必要とする治療法です。また、効果や副作用を確認するために毎月の受診が必要となります。
 効果は2年目から現れてきます。また、残念ですが2割の方には治療効果が期待できません。
 舌下免疫療法は、アレルゲンを投与することからアレルギー反応が起こる可能性があり、まれにアナフィラキシーという重い副作用が現れることも考えられます。そのため、本治療は副作用に対する適切な対応ができる医師のもとで行われます。また、副作用に対する患者さんの理解も必要です。

舌下免疫療法をお勧めしない方

 重症気管支喘息の方、妊婦の方、妊娠を近々ご希望の方、口腔内に傷や炎症のある方、ステロイド内服中の方、がんの治療中の方、重度の心疾患の方は当院では治療をおこなっておりません。
 舌下免疫療法は治療期間が長く、花粉症の対症療法のように花粉症の時期にだけ行う治療ではありません。スギ花粉飛散前も、飛散期も、飛散後も毎日舌下免疫療法を継続します。薬を飲んだり飲まなかったりする、仕事などで医療機関の受診が長期間できないという忙しい方には不向きな治療です。また、服用方法を遵守しないと思わぬ副作用がおこることがあります。治療を開始する方は必ず計画通りに治療を行っていただきます。
 以上の理由から、舌下免疫療法をお受けいただく前にこの治療法の利点、欠点、注意点をご理解いただき、十分にご検討いただくようお願いします。